「補助金・助成金申請支援」のリード獲得事例:戦略的LP制作と広告運用の抜本的見直しにより、月間10件超の安定受注を実現
サマリー
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課題: 紹介中心の集客から脱却すべく自社広告を開始したが、P-MAX広告と検索広告の重複による非効率や、LPの訴求力不足でCPAが高騰していた。
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打ち手: 「ベテランによる高品質な書類作成」と「最短3営業日のスピード対応」を言語化したLPへ刷新。広告はP-MAXを廃止し、検索キャンペーンへデータを集約。
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成果: 運用開始後、早期に月間10件以上の有効問い合わせを安定獲得。CPAを目標範囲に収め、投資回収見込み11〜15ヶ月の健全な集客モデルを構築。
実施範囲
本プロジェクトでは、Web上での接点構築から最終的なコンバージョン計測まで、一気通貫での支援を行いました。具体的な実施範囲は以下の通りです。
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戦略的ランディングページ(LP)制作および初期戦略設計(STUDIO活用)
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Google広告・Yahoo!広告の運用最適化およびアカウント管理
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コンバージョン(CV)計測基盤の再整備と月次改善ミーティングによる伴走支援
主要成果
広告運用とLPの改善により、短期間で事業成長に直結する数字を出すことができました。
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月間有効問い合わせ数: 10件以上を安定的に確保(紹介依存からの脱却を達成)
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LPのCVR(転換率): ターゲットを「質を重視する中小企業」に絞り込み、従来比約3倍に改善
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投資回収期間: 運用開始後11〜15ヶ月で初期投資を完済し、2年目以降は高い利益率を維持
クライアント概要
業種 / エリア / 規模感
本クライアントは、東京都港区に拠点を構え、全国の中小企業を対象にサービスを提供しているプロフェッショナル・ファームです。経験豊富なベテランコンサルタントや士業を擁し、従業員数1万人以下の企業を主なターゲットとしています。IT導入や設備投資に伴う公的資金調達の戦略立案から、複雑な書類作成、採択後の実績報告までを一気通貫でサポートする高い専門性が強みです。
提供サービス・単価帯・検討期間
主軸となるサービスは、IT導入補助金やものづくり補助金の申請代行です。単価は、着手金と成功報酬を合わせて1案件あたり20万〜50万円程度となっています。補助金には「公募締切」という明確な期限があるため、検討期間は2週間〜1ヶ月と比較的短いのが特徴です。そのため、ユーザーは「今すぐ対応してくれるか」「確実に採択されるか」という基準で依頼先を比較検討する傾向にあります。
相談時点の集客状況
長年、既存顧客からの紹介を中心に安定した経営を続けてこられました。事業拡大を見据え、5年以上前から自社でリスティング広告を運用していましたが、近年は競合の急増によりCPA(顧客獲得単価)が以前の倍以上に高騰。広告経由の集客が不安定になり、本来の強みを活かしきれない状態でのご相談となりました。
課題整理
症状:広告費を消化しているが、商談に繋がる質の高い問い合わせが不安定
月によって問い合わせ数に激しい波があり、特に繁忙期以外の集客が極端に落ち込んでいました。また、獲得単価が許容範囲を超え始めており、広告を回せば回すほど利益を圧迫するという悪循環に陥っていました。
原因仮説
1. キャンペーン構造の重複による「データの分散」
Google広告の自動化機能である「P-MAX(パフォーマンス最大化)」キャンペーンが、通常の検索広告とキーワードを食い合っていました。特に指名検索や確度の高いキーワードがP-MAX側に吸い取られ、詳細な分析や細かな入札調整ができないブラックボックス状態になっていたことが最大の要因と考えました。なぜなら、運用ログを精査した際、P-MAXの検索語句のほとんどが既存の検索キャンペーンでカバーできるものに留まっていたからです。
2. LPの「安心感」と「スピード感」の可視化不足
安さを売りにする格安代行業者との差別化ができていませんでした。クライアントの最大の強みである「経験豊富な専門家による二重チェック」や「最短3営業日でのドラフト作成」といった高品質・高速な実務体制が、サイト上では十分に伝わっておらず、価格だけで判断されて離脱を招いていました。競合他社のLPと比較した際、情報量は多いものの「信頼の根拠」となるビジュアルや具体的な数字が不足していました。
3. 計測環境の不備と判断の遅れ
どのキーワードが最終的な「成約」に寄与しているかの紐付けが弱く、CVRが低下した際に、それが「季節要因」なのか「広告の不備」なのかを判断するデータが不足していました。実際、8月にCVRが大幅に悪化した際も、原因の切り分けができず改善が後手に回っていました。これは、コンバージョン計測がフォーム送信と電話問い合わせで適切に分離・管理されていなかったことが原因と推測されました。
目標とKPI設計
ゴール
最終的な目標は、「紹介に頼らない事業の柱として、Webから月10件以上の有効問い合わせを安定獲得し、15ヶ月以内に投資を回収すること」に設定しました。これにより、紹介が途切れた際のリスクをヘッジし、攻めの経営ができる体制を目指しました。
主要KPI
目標達成のために、以下の指標を日次・月次で追跡することにしました。
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月間有効CV数: 10件(冷やかしを除いた、実際に商談へ至ったリード数)
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適正CPA: 30,000円以内(利益を圧迫しない限界ライン)
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売上貢献額: 月間50万円(5件成約×平均単価10万円の想定)を最低ラインとして維持
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商談化率: 50%以上
短期・中長期の切り分け
戦略を時間軸で切り分け、着実な成果を狙いました。
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短期: 広告構造の改革。P-MAXを停止し、検索キャンペーンへ予算を一本化することで、即座にCPAを抑制する。
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中長期: STUDIOを活用した新LPによるCVRの底上げ。定期的なLPO(最適化)を実施し、競合他社に負けない「信頼ブランド」を構築する。
全体戦略
本プロジェクトでは、単なる運用代行の枠を超え、クライアントの事業利益に直結する「複合的な施策」を以下の役割分担で展開しました。
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検索広告:顕在層の確実な刈り取り(短期)
データの分散を防ぐため、あえてP-MAXを廃止。検索意図が明確な「キーワード単位」の検索広告へ予算を一極集中させることで、AIの学習効率を高め、最も成約に近い層をピンポイントで狙い撃ちします。
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LP(ランディングページ):選ばれる理由の明文化(中長期)
ターゲットである中小企業経営者が最も懸念する「確実に採択されるか(品質)」「納期に間に合うか(スピード)」を、STUDIOを用いた高品質なデザインで可視化。他社比較における決定打を構築します。
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計測と改善:意思決定の高速化(常時)
広告管理画面上の数字だけでなく、その先の「商談の質」を月次MTGでフィードバックいただき、成約率の高いキーワードを特定。季節変動(8月の落ち込みなど)にも動じない、データに基づいた改善サイクルを回し続けます。
施策の詳細
フェーズ1(0〜2週):土台作りと「無駄」の徹底封鎖
まずは現状の広告アカウントにメスを入れ、無駄なコストを止めることから開始しました。
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実施内容: 既存のキャンペーンを精査し、無駄な検索語句(「公募要領」など)を除外設定。
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実施内容: CV計測タグを再設定し、電話問い合わせとフォーム送信を正確に分離。
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実施内容: 専門家の集合写真や支援実績ロゴの収集を行い、LPの「信頼パーツ」を整理。
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なぜやったか: 不正確なデータでAIが学習を続けていたため、ノイズを排除し、正しい判断ができる環境を作る必要があったためです。
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どう変わったか: 配信初日から、手続き方法を調べるだけの「非商用ユーザー」の流入が激減し、質の高いアクセスが集中し始めました。
フェーズ2(〜1-2ヶ月):広告構造の統合と「戦略的LP」の公開
新LPのリリースとともに、広告運用を「手動制御」に近い形に切り替え、精度を極限まで高めました。
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実施内容: P-MAXを停止し、キーワード単位での入札管理が可能な検索キャンペーンへ予算を集約。
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実施内容: LPのキャッチコピーを「最短3営業日でドラフト作成」「着手金15万円〜」といった具体的な数字に刷新。
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実施内容: 比較検討に強い「お客様の声」を実名・顔写真付きで3件以上掲載。
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なぜやったか: 専門職のサービスは「誰が対応するか」が最大の差別化になるため、ベテランの存在を可視化し、スピードで即決を促すためです。
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どう変わったか: 広告からの離脱率が低下し、LP公開後すぐに目標CV数を達成。商談化率も50%を維持できるようになりました。
フェーズ3(〜3-6ヶ月):最適化と「勝ちパターン」の拡張
蓄積された運用データを元に、市場の変動に強いアカウントへと昇華させました。
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実施内容: 8月などの季節的なCVR低下要因を分析し、競合の動向に合わせて広告文を柔軟に調整。
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実施内容: レスポンシブ検索広告のアセット(見出し)を10個前後に厳選し、クリック率を最大化。
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実施内容: 効果が高かったキーワードを軸に、ターゲット層を絞ったディスプレイ広告での再アプローチを試験導入。
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なぜやったか: 繁忙期以外でも安定して問い合わせを獲得できる「集客の自走状態」を作るためです。
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どう変わったか: 1件あたりの獲得単価が2.2万円前後で安定。経営側で「広告投資に対する売上予測」が可能な状態になりました。
成果
主要成果の推移
施策実施後、問い合わせ数と収益性は劇的に改善しました。
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有効問い合わせ数(月間): 平均4件前後から、10件以上へと拡大。
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CPA(獲得単価): 5万円超だった状態から、2.2万円〜2.5万円前後で安定。
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商談化率: ターゲットを絞り込んだLPにより、50%以上を継続キープ。
成果の内訳
今回の成果は、単一の施策ではなく複数の要因が組み合わさって実現しました。まず、広告構造をシンプルにしたことで、指名検索や高確度キーワードの取りこぼしが激減しました。次に、LPで「高品質・高速」という軸を貫いたことで、価格のみで比較する層を避け、成約に近い良質な顧客を惹きつけることができました。
※但し注意書き:補助金の公募スケジュールや季節要因(8月などの閑散期)により、短期間の数値変動は発生します。本成果はこれら外部要因を考慮した上での平均的な推移として算出しています。
学び・再現ポイント
うまくいったポイント
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「専門家の顔」を戦略的に露出したこと: 集合写真や経歴をLPの目立つ位置に掲載し、「誰が責任を持って書類を書くのか」を明示したことで、ユーザーの心理的ハードルを劇的に下げることができました。
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AIの自動化から「意図的な管理」への回帰: 専門職特有のニッチな検索意図は、AIの広範な自動化よりも、丁寧な除外設定とキーワード選定の方が高い成果を生むことを再認識しました。
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具体的な数値による「ベネフィット」の提示: 「迅速に対応」という抽象的な表現を「最短3営業日でドラフト作成」と言い換えるだけで、クリック率とCVRの両方が向上しました。
つまずいた点 / 乗り越え方
運用開始直後の8月に、市場全体の要因でCVRが一時的に悪化しました。この際、焦って予算を削るのではなく、競合のLPや広告文を再調査しました。その結果、クライアントの「実績ロゴ」や「お客様の声」をさらに追加して信頼性を補強したことで、翌月には数値をV字回復させることができました。
同業種ならこうする
本事例の戦略は、弁護士、税理士、コンサルタントなど、個人の専門スキルが商品となるサービスに極めて有効です。特に「品質」「スピード」「価格の透明性」の3軸をLPで正しく伝えることができれば、大手事務所からでも十分にシェアを奪うことが可能です。
体制と進め方・役割分担
密な連携によるPDCAサイクルの構築
プロジェクトの成功には、クライアントとの情報の透明性が不可欠でした。月1回のオンライン定例会(Google Meet)を実施し、前月の数値報告だけでなく、実際の商談で出た質問や懸念点を広告文やLPのコンテンツに即座に反映させる体制を整えました。
役割分担
役割分担を明確にすることで、専門性を最大限に活かしました。
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クライアント側: 補助金情報のアップデート、商談フィードバック、実績素材の提供、最終的な商談の実施。
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弊社側: LPの保守・改善、広告運用(Google/Yahoo)、全体の数値管理、マーケティング戦略の立案。
納品物
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STUDIOで構築した戦略的LP一式(運用権限の譲渡を含む)
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最適化されたGoogle広告・Yahoo!広告のアカウント構造
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毎月の詳細なパフォーマンスレポートと改善アクションプラン
次の打ち手
今後は、単なる「申請代行」の集客に留まらず、以下の施策を通じて事業のさらなる拡大を目指します。
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専門職求人ポータルサイトの構築: 業界内での知名度を活かし、専門職に特化した求人メディアを構築。月間5万セッション以上の流入を目指し、新たな収益の柱を作ります。
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採用広告の展開: 案件増に伴う人材不足を解消するため、クライアント自身の「採用専用LP」を制作し、広告による有資格者の安定採用を支援します。
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バックエンドサービスの強化: 採択後の「実績報告サポート」や、その後の「継続経営顧問」への誘導導線を強化し、1クライアントあたりの生涯売上(LTV)の向上を図ります。