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介護施設紹介サイトの広告改善事例|成果の出ないキャンペーン整理で効率化

サマリー

  • 課題: 通常検索キャンペーンが3ヶ月間フォーム経由の問い合わせにつながっていない状態が続いていた。加えて、電話の反響は「タップ計測」のみで実際の通話完了率が分からず、広告の自動入札にそのまま使える状態ではなかった。
  • 打ち手: 成果が出ていないキャンペーンの役割を再定義し、コンバージョンが集中するキャンペーンを軸にした構成へ再編。広告とサイト間のコンバージョン計測のズレを修正し、精度の低い指標(電話タップ)は自動入札の対象から切り離す整理を実施。
  • 成果: 再編から3ヶ月で、月間フォーム問い合わせは平均10件から14件に増加。アカウント全体のCPAは約35,000円から約25,000円へ改善。成果につながっていなかった通常検索キャンペーンも月2〜3件の問い合わせにつながり、広告費の使い方にメリハリがついた。

実施範囲

アカウント構造の分析(検索語句・流入経路・コンバージョン内訳の確認)、キャンペーン再設計、コンバージョン計測の整備、月次レポーティング。

 

クライアント概要

東海エリアで老人ホーム・介護施設の検索/紹介を行う、地域密着型の施設紹介サイトです。介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームなど複数の施設種別を横断的に取り扱っており、月間広告予算は数十万円規模、月間フォーム問い合わせ数は10件前後で運用しています。

マーケティング支援者として、なぜこの広告構成にしたのかを数字で説明できる運用を重視しながら、クライアントの広告運用に伴走しています。

 

課題整理

① 成果につながっていないキャンペーンの存在

コンバージョンレポートを3ヶ月分さかのぼって確認したところ、通常検索キャンペーンはフォーム経由の問い合わせが1件も発生していませんでした。広告費は継続的に消化されている一方で、成果には結びついていない状態です。

別途、検索語句データを確認すると、アカウント全体の検索語句の約8割は施設名そのものを指名する検索であることも分かりました。指名検索はすでに比較検討が進んだユーザーによるものでコンバージョンに直結しやすい一方、「介護付き有料老人ホーム 〇〇市」のような一般キーワードは検討期間が数週間〜数ヶ月に及び、広告接触からコンバージョンまでの間隔が長く、効果が見えにくいという特性があります。

この2つの事実を突き合わせると、通常検索キャンペーンが狙っていた一般キーワード層は、そもそも広告経由で短期間に問い合わせへ至りにくい層だったと考えられます。

項目 内容
検索語句のうち指名検索の割合 約80%
通常検索キャンペーンの3ヶ月間のフォーム問い合わせ 0件
月間広告予算 数十万円規模

② 電話の反響を判断材料として使えない状態

もう一つの課題は、電話による反響の精度でした。月50件前後の「電話タップ」を計測してはいたものの、タップは実際に通話まで至ったかどうかを示すものではありません。精度の低い指標をそのまま広告の自動入札の判断材料に使うと、かえって最適化の精度を下げてしまうリスクがあります。

 

打ち手

① キャンペーン構成の見直し

月間の問い合わせ件数が限られているアカウント特性を踏まえ、「キャンペーンを細かく分けるほど良い」という発想を一度手放しました。コンバージョンの少ない状態でキャンペーンを多数に分割すると、自動入札の学習が安定しないためです。

そのうえで、地域別の予算コントロールという要件は広告グループや入札調整では実現できず、キャンペーン分割でしか達成できないという判断のもと、以下の3キャンペーン構成に再編しました。

キャンペーン 役割 入札戦略
動的検索(重点エリア以外) 重点エリア外の指名検索の受け皿 自動入札(コンバージョン数の最大化)
動的検索(重点エリア) 問い合わせの主戦場。指名検索を主軸に獲得 自動入札(コンバージョン数の最大化)
通常検索(重点エリア・種別特化) 重点施設種別をキーワードで明示的に狙う 拡張CPC

成果につながっていなかった通常検索キャンペーンは、廃止するのではなく「施設種別×エリア」のキーワードで指名されにくい層を狙う枠として役割を再定義しました。コンバージョンの確保が構造的に難しいことを踏まえ、自動入札ではなく拡張CPCを採用しています。拡張CPCは自動入札に比べて低コンバージョン環境下での精度劣化が緩やかなため、データが貯まりにくいキャンペーンに適した選択です。

② コンバージョン計測の整備

施策の効果を正しく評価するには、計測そのものが正確である必要があります。確認したところ、広告とサイト側の計測タグの紐づけに一部ズレがあり、問い合わせが発生していても正しくカウントされていないケースがありました。タグの設定を見直し、問い合わせ完了画面のコンバージョンが過不足なく計測される状態に整備しています。

電話の反響については、「タップ計測」と「実際の通話」がイコールではないという前提に立ち、計測自体は継続しつつ、自動入札の最適化対象からは外すという判断を取りました。精度の低いデータを最適化に混ぜないことで、広告側の判断材料の質を保っています。

あわせてサイトを確認したところ、施設詳細ページの一部に、問い合わせ導線のクリックが計測されていない箇所があることも判明しました。広告の計測タグだけでなく、計測の前提となるサイト側の実装にも漏れがあったということです。

整備内容 目的
広告・サイト間のコンバージョンタグの紐づけ修正 問い合わせの計測漏れをなくす
電話タップを自動入札の最適化対象から除外 精度の低いデータによる学習の歪みを防ぐ
サイト側の未計測箇所の洗い出し 計測の前提となる実装の漏れを解消

 

成果

再編から3ヶ月間の運用データを比較すると、以下のような変化が見られました。

 

指標 再編前 再編後(3ヶ月時点)
月間フォーム問い合わせ 平均10件 平均14件
アカウント全体のCPA 約35,000円 約25,000円
通常検索キャンペーンの問い合わせ 0件(3ヶ月間) 月2〜3件
重点エリアへの予算配分 明確な配分なし 重点エリアに7割を集中

最も大きな変化は、成果につながっていなかった通常検索キャンペーンが「指名されにくい施設種別」の受け皿として機能し始めたことです。月2〜3件という数字自体は大きくありませんが、これまで取れていなかった層に手が届いたという点で意味のある変化といえます。

CPA改善の主因は、コンバージョンデータが分散していたキャンペーン構成を集約したことで、動的検索キャンペーンの自動入札の学習が安定したことにあります。電話タップを最適化シグナルから切り離したことも、入札精度の改善に寄与したと考えられます。

なお、電話の反響については依然として「タップ=通話完了」ではないという計測上の限界が残っており、コールトラッキングツールの導入が次の検討課題です。

 

学び・再現ポイント

成果につながっていないキャンペーンは、稼働しているという理由だけで見過ごされがちです。期間を区切って成果を棚卸しする習慣がなければ、気づかないまま広告費が消化され続けてしまいます。

精度の低い指標(今回でいう電話タップ)は、「捨てる」のではなく「使い道を限定する」のが現実的な落とし所です。計測はしつつ最適化対象からは外す、という運用上の線引きが、自動入札の学習を歪めないために有効でした。

また、コンバージョン数が少ないアカウントでは、キャンペーンを増やすほど精緻な運用ができるわけではありません。むしろデータを集約する設計の方が、自動入札との相性が良いケースが多いというのも、今回の再設計を通じた実感です。

 

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