BtoB素材メーカーのSEOゼロ立ち上げ:課題起点のコンテンツ設計で製品名以外のキーワードからの流入を開拓し、月間リード70件を安定獲得
マーケ担当がいないBtoB中小企業の、戦略設計から実行まで一貫して担うWebマーケティングコンサルタント。提案・窓口・実行をすべて本人が対応し、担当者が変わらない支援を東京を拠点に全国で提供。リスティング広告・SEO・AI活用を軸に10年・150社以上の支援実績。合同会社KAIZUKA代表。

サマリー
- 課題: 製品名での流入はあるが、製品を知らない潜在顧客との接点がゼロ。課題軸・用途軸のキーワードでサイトが一切ヒットしない状態。
- 打ち手: 「顧客の困りごと」を起点にしたブログ記事戦略への転換、用途例ページのコンテンツ拡充、本体サイトとの内部リンク設計。
- 成果: サイト公開から7ヶ月で月間リードが平均70件に到達。製品名では拾えなかった課題系・用途系キーワードからの流入を新規に開拓。
実施範囲
コンテンツ戦略の設計(製品軸→課題軸への転換)、ブログ記事のディレクション(月6記事)、用途例ページのSEO最適化と情報拡充、内部リンク設計。
クライアント概要
国内の化学素材メーカーの一事業部。特殊な材料・コンパウンド系製品を製造業向けに提供している。製品ラインナップは15種類以上、用途例は40〜50種類に及ぶ。
B2B素材分野の特性として、初接触から受注まで1〜3年かかる長い検討サイクルがある。顧客はまずサンプルを入手し、自社製品への適合を評価し、採用を決定するというプロセスを踏む。つまり早期に接触して長く関係を育てることが成果につながるビジネス構造だ。
本体サイト(親ドメイン)には製品情報が掲載されていたが、課題別・用途別のコンテンツはなく、製品名を知らない新規顧客にはWebで見つけてもらえない状態から支援をスタートした。
課題整理:製品名以外の接点がない
製品名や会社名での流入はある程度存在していた。しかし、それはすでに自社を知っている既存顧客や指名検索ユーザーにすぎない。Webが本来担うべき「まだ自社を知らない潜在顧客との最初の接点」が機能していなかった。
実際の新規顧客が最初に検索するのは製品名ではなく、「こういう用途に使える素材を探したい」「この性能を実現できる材料はないか」という課題・用途起点の言葉だ。こうしたキーワードでは検索結果にまったく表示されていなかった。
原因を整理すると、サイト全体のコンテンツ設計が「製品起点」になっていたことに尽きる。既存ページはすべて「この製品にはこういう特性がある」という説明で構成されており、潜在顧客の入口となる課題軸・用途軸のコンテンツが存在しなかった。
加えて、40〜50種類の用途例ページは存在していたものの、1ページあたりの情報量が薄く、Googleのインデックス対象外になっているページも複数あった。コンテンツ資産として存在していながら、検索上は「ないも同然」の状態だった。
打ち手:「課題を持った技術者が最初にたどり着くサイト」への転換
戦略の核心は、「製品を売るサイト」から「課題を持った担当者が最初に検索でたどり着くサイト」へのコンセプト転換だ。製品に行き着く前の、もっと手前の検索行動を拾いにいく設計に切り替えた。
課題軸のブログ記事を量産する
「食品包材に適した素材の選び方」「医療用チューブに求められる柔軟性と耐薬品性」といった、顧客の困りごとや検討プロセスを起点にしたコンテンツを月6記事のペースで制作。化学・素材の専門知識が必要なため外注は難しく、社内担当者がAIドラフトと人間チェックを組み合わせた体制で対応した。
記事を重ねる中で、ある素材カテゴリーの「入門・解説記事」が月間で突出したアクセスを集めるキラーコンテンツに成長。ニッチなロングテールばかりではなく、検索需要の大きいテーマで大きな入口を1本つくることがサイト全体の底上げにつながった。
用途例(事例)ページをSEOで機能させる
存在していても内容が薄いページはGoogleのインデックス対象にならない。Q&A形式のコンテンツ追加・内部リンクの整備・サーチコンソールからの再申請という3点セットで、既存ページを「検索で見つかる状態」に引き上げた。さらにブログ記事と用途例ページを相互リンクで結び、サイト内の回遊性を高めた。
本体サイトとの内部リンク整備
本体サイト(親ドメイン)は非常に強いドメイン評価を持つ。ここから事業部サイトへのリンクを適切に設置することで、立ち上げ期のドメイン評価を底上げした。12月の連携開始後、翌月には月800ユーザーの参照流入が加わった。
成果
| 指標 | サイト公開直後 | 7ヶ月後 |
|---|---|---|
| オーガニック月間訪問者 | ほぼゼロ | 月1,000人超 |
| 月間リード合計 | ほぼゼロ | 平均70件 |
| 月間問い合わせ数 | ほぼゼロ | 最大19件 |
最大の成果は数字よりも流入キーワードの質的変化だ。製品名での流入しかなかった状態から、「用途+素材」「課題+材料選定」といった一般キーワード・課題系キーワードでのヒットが発生するようになった。これは新規顧客との接点がゼロだった状態からの根本的な変化を意味する。
リードの大半は実際の見込み客からの問い合わせで、フォーム営業等のノイズが少ない。オーガニック検索が主な流入源のため、広告費ゼロで毎月リードが積み上がる「資産型」の集客構造が完成した。
学び・再現ポイント
「製品名を知らない人」を起点に設計することがBtoB素材メーカーの急所だ。製品を知っている人向けのコンテンツは既に本体サイトにある。事業部サイトが担うべき役割は、課題・用途軸で検索している潜在顧客との「最初の接点」を生み出すことだった。
「大きな入口を1本先につくる」という発想も有効だった。アクセスが集まったキラーコンテンツが引力となり、関連する課題系記事・用途例ページへの回遊が生まれた。ロングテール記事を積み上げながら、検索需要の大きいテーマで1本の軸をつくることが、サイト全体の成長を加速させた。
一方で、用途例ページは「つくっただけ」では機能しないという点は見落とされがちだ。ページ数だけ揃えてもコンテンツが薄ければインデックスされず、検索では存在しないも同然になる。Q&A追加と内部リンク整備のセットで既存資産を「使える状態」に引き上げたことが、後半の流入増加に寄与した。
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