長らくインターネット広告を牽引してきたのがリスティング広告(=検索連動型広告)です。「ネット広告を始めるならまずはリスティング広告から」となんとなく考えている方も多いはずです。...
SEOとリスティング広告はどちらが先?Web担当不在の中小企業の判断基準

オンライン集客の手法が多様化し、最近ではSNSやYouTubeの活用も広がっています。しかし、今なお着実な成果への安定感と費用対効果の高さで、集客の柱として最初に検討されるのが「SEO」と「リスティング広告」です。
ところが、「SEOとリスティング広告どちらを優先すべきか?」を調べても、SEO会社はSEOを、広告運用会社は広告を推奨しがちであり、どうしても提供側の都合(ポジショントーク)が含まれてしまいます。本来、優先順位は貴社の置かれる「マーケット・競合・時間軸・予算」という4つの変数によって、戦略的に判断されるべきものです。
本記事では、特に「月10〜30万円」という現実的な予算規模を想定し、事例を交えながら現場のリアルな視点での判断基準を解説します。教科書的な一般論や理想論ではなく、Web担当者がいない状況でも着実に成果を出すための実践的な指針としてご活用ください。
関連記事:『SEOは内製すべき?外注すべき?Web担当がいない中小企業の判断基準と現実』
<この記事の目次>
SEOとリスティング広告の違いは何か?
結論から言えば、SEOとリスティング広告は「検索ユーザーにアプローチする」という目的は共通していますが、表示位置・即効性・コストの性質が決定的に異なります。
SEO(検索エンジン最適化)とリスティング広告(検索連動型広告)は、どちらも「ユーザーの検索行動」に対してアプローチするという点では非常によく似た手法です。しかし、その「入り口」と「出口」の設計は対極にあります。具体的な違いを3つの視点から整理しましょう。
表示の仕組みの違い(自然検索 vs 広告)
最大の違いは「表示を決定する評価基準」にあり、SEOはGoogleのオーガニック検索アルゴリズムによって、広告は入札価格と広告専用のアルゴリズムの掛け合わせで決定されます。

SEO(自然検索)は、Googleが「ユーザーの検索意図に対して最も有益である」と判断したコンテンツを、独自の膨大な評価基準(アルゴリズム)に基づいてランク付けする仕組みです。これに対し、リスティング広告は「キーワードへの入札価格」と、広告のクリック率や関連性を評価する「広告品質(アルゴリズム)」を掛け合わせたリアルタイムのオークションによって表示の有無や順位が決定します。
広告が「資金力と品質によって露出を確保する」ものであるのに対し、SEOは「コンテンツの有用性によってGoogleの信頼を勝ち取る」作業と言い換えることができます。なお、最近ではデザインの統一により両者の視覚的な境界線は曖昧になっていますが、裏側の仕組みは全くの別物であることを理解しておく必要があります。
成果が出るまでのスピードの違い
表示までのスピード感において、リスティング広告は「即時性」に優れ、SEOは「数ヶ月単位の継続的な積み上げ」を必要とするという明確な差があります。

表示やアクセスの確保という点で見れば、両者のスピード感は全く異なります。
- リスティング広告: 極端に言えば、費用をかけて設定を完了させれば、初日から狙ったキーワードの検索結果に自社サイトを表示させ、クリック(アクセス)を確保できます。
- SEO: ニッチなキーワードであれば数日で表示されることもありますが、まとまったアクセスを狙うには数ヶ月から半年以上の時間を要するのが一般的です。上位表示までの難易度と期間は、自社ドメインの強さや企業の認知度・存在感に大きく左右されます。正直なところ、業界トップの大手企業であればドメインパワーを背景に容易に上位化できますが、多くの中小企業はそうした有利な条件がない状態から、地道に評価を積み上げていく必要があります。
コストの性質の違い(クリック保証 vs 制作費)
コストの性質については、リスティング広告が「費用に対してクリックが保証される仕組み」であるのに対し、SEOは「制作にコストがかかるがクリックは保証されない」という違いがあります。

リスティング広告は「クリック課金制」です。ざっくり言えば、月に30万円と予算を決めたら、その金額に応じたクリック数(サイトへの流入数)を確実に確保できるのが最大の特徴です。ただし、アクセスは買えても、そこから先の問い合わせが何件発生するかは運用やサイト次第であり、予算を止めれば集客も即座に停止します。
一方でSEOは、コンテンツ(主に記事)を作成すること自体にコストが発生します。一度公開した記事は、どれだけクリックされてもGoogleへの支払いは発生しませんが、一方で「どれだけコストをかけて記事を作っても、クリック(流入)は一切保証されない」というリスクを伴います。Googleに評価されなければアクセスはゼロのままですが、一度上位に入れば数年にわたり集客し続ける可能性があります。ただし、昨今の激しい環境変化を考えると、以前ほど「一度作れば放置で成果が出続ける」という状況ではない点には注意が必要です。
どちらを先にやるか決める「4つの判断基準」
どちらの手法を選ぶべきかは、単なる好みの問題ではなく「マーケットの需要」「競合の状況」「予算と時間」「自社のLTV」という4つの客観的な基準で決まります。
大前提として、SEOもリスティング広告も「検索行動」という顕在化した需要にアプローチする手法です。そのため、まだ誰も課題として認識していない新サービスや、存在しないニーズを作り出すようなフェーズにはどちらも向いていません。その上で、中小企業が判断すべき4つのポイントを整理します。
基準1:マーケット(検索して解決しようとする人がいるか?)
SEOやリスティング広告が機能するための絶対条件は、ユーザーがその問題を「解決すべき課題」として認識し、検索窓に言葉を打ち込んでいることです。
SEOも広告も、ユーザーの能動的な検索行動がスタート地点になります。そのため、世の中にまだない全く新しい概念のサービスや、ユーザー自身が「これは不便だ」「解決できるはずだ」と気づいていない潜在的な課題を扱う場合、どちらの手法も効果を発揮しません。ジャンル自体が存在しない状態では、ユーザーは何と検索していいか分からず、結果としてアクセスも発生しないからです。

例えば、今では当たり前の「クラウドファンディング」も、その概念が広まる前は誰もその単語で検索しませんでした。また、「実はこの作業、自動化できるのに」という画期的なツールがあったとしても、ユーザーが今の非効率を「当たり前」と受け入れていれば検索は生まれません。こうした「ニーズの創出」が必要なフェーズでは、検索を待つ手法(SEO・広告)ではなく、SNSやプレスリリースなど、こちらから認知を広げるプッシュ型の手法を検討すべきです。
基準2:競合の強さ(その山は登れるか?)
競合他社の勢力図やWeb活用の成熟度によって、広告とSEOのどちらに投資すべきか、あるいはあえて「戦わない」かを見極める必要があります。

他社が長年かけて蓄積したコンテンツが強固なジャンルや、健康・金融などの「YMYL(Your Money Your Life)」と呼ばれる領域では、後発の中小企業がSEOで上位に食い込むのは至難の業です。一方で、鍵の紛失対応や葬儀などの「緊急性が高い業界」では、広告のクリック単価が異常に高騰し、リスティング広告単体では赤字になっているジャンルさえ存在します。
また、一部のB2B業界のように、競合他社がWebマーケティングに消極的な分野であれば、わざわざコストをかけて広告を出さずとも集客できるケースもあります。広告費が高騰しすぎて採算が合わない、あるいは競合が不当に競り合っているジャンルにおいては、広告戦線から距離を置き、後述する「LTV(顧客生涯価値)」の視点をより真剣に検討した上で、SEOに注力するなどの判断が必要です。
基準3:予算と時間軸(いつまでに、いくらで?)
集客に充てられる予算の継続性と、成果を最大化させたい目標時期という「自社特有の事情」によって、現実的な手法は絞り込まれます。
どれほど優れた手法であっても、自社の資金繰りや経営計画と乖離(かいり)していては継続できません。ここでは「予算」と「時間軸」の2点から判断基準を整理します。
- 予算:広告費を「ガソリン」として払い続けられるかリスティング広告は、予算を投入している間だけ確実に露出を買える仕組みです。もし「今月は予算がないので止める」という判断が頻発するようであれば、集客の蛇口がその都度閉まることになり、安定した事業成長は望めません。一方で、SEOは記事制作などの初期投資こそかかりますが、中長期的には広告費をかけずに集客し続ける土台となります。月々のキャッシュフローとして広告費を排出し続けられるか、あるいは将来のコスト削減のために今リソースを割くかという経営判断が必要です。
- 時間軸:成果を「いつ」最大化したいのか「来月の展示会までに反響を増やしたい」「今すぐ在庫をさばきたい」といった、直近の成果を求めるなら選択肢は広告一択になります。一方で、「1年後、2年後に広告費に依存しない集客構造を作りたい」という中長期的な視点での最大化を狙うなら、SEO(記事作成)を早期に仕込んでおく必要があります。
基準4:自社のLTV(広告費を回収できるか?)
広告で勝負できるかは、運用技術の前に「1人のお客さんを獲得するために、最大いくらまで広告費を払えるか(許容獲得単価)」というビジネスモデルの体力で決まります。
リスティング広告を続ける上で、避けて通れないのがLTV(ライフタイムバリュー/顧客生涯価値)という考え方です。これは簡単に言えば、「1人のお客さんが、自社と付き合っている間に合計でいくらお金を払ってくれるか」という数字です。

リスティング広告は、実質的にはこの「1人にいくら払えるか」の競い合いです。例えば、リピート注文が多い競合他社は、1人のお客さんから合計で3万円の利益を得ている(LTVが高い)とします。彼らは「1件の問い合わせ獲得に1万円」の広告費を払っても十分に元が取れます。すると、その業界の広告単価は彼らに合わせて1万円前後まで高騰します。
一方、自社がリピートのない売り切り型の商品で、利益が1件5,000円しかない場合、1万円の広告費を払うと売れるたびに赤字になってしまいます。どれだけ設定を工夫しても、この「広告に使える上限金額(許容獲得単価)」に差がある以上、広告戦線からは脱落せざるを得ません。
つまり、広告を出し続けるためには、リピート率を高めてLTV(1人が生涯に払ってくれる金額)を上げるか、営業プロセスを改善して少ない問い合わせから確実に成約させるしかありません。それが不可能な場合、広告による集客は現実的ではなくなり、地道にSEOに取り組むという判断を迫られることになります。
条件が許すなら同時進行が最短ルート
「どちらか一方を選ばなければならない」と考えがちですが、前述したマーケット上の致命的な欠陥がない限り、予算10〜30万円という規模でも両方を同時にスタートさせるのが最も合理的です。
多くの方は「予算を分散させると中途半端になる」と懸念されますが、実際には広告とSEOを切り分けることで生じる「機会損失」や「データの断絶」の方が、中小企業にとっては大きなリスクとなります。なぜ同時並行が最短ルートになり得るのか、その理由を解説します。
二者択一ではなく組み合わせる
「立ち上がりの早い広告」で今すぐの反響を確保しつつ、その期間を利用して「じわじわ効くSEO」を仕込むのが、最も健康的で無駄のない集客モデルです。

リスティング広告(LP)は設定さえ終えればすぐに稼働できる「点」の施策です。まずは広告で反響を出し、キャッシュを回しながら市場の反応を確かめます。その裏で、SEO記事という「線」の施策をコツコツと積み上げていきます。広告だけに依存しすぎると、将来的に広告費の高騰に耐えられなくなりますが、SEOを並行しておくことで、数ヶ月後には「広告費だけに頼らない集客の土台」が自然と構築されます。
広告データはSEOの失敗を防ぐ「羅針盤」になる
広告とSEOを同時に回す最大のメリットは、得られる情報の密度が圧倒的に増え、SEOの「当たりキーワード」を事前に特定できることです。
SEO記事を一本書き上げるには多大な労力がかかりますが、もしそのキーワードが「アクセスは取れるが売れない言葉」だった場合、その投資は無駄になってしまいます。広告を並行していれば、どの検索語句で実際に問い合わせが来たのか、どの訴求がユーザーに刺さったのかという「答え」が事前に手に入ります。その「売れる」と分かっている語句で記事を書くことで、SEOの成功率は劇的に向上します。
大規模な記事外注は不要。まずは「メインキーワード」を固める
SEOのために何十本もの記事を外注する必要はありません。流入数は小さくとも、自社の強みが発揮でき、成約率が高い「メインキーワード」から優先的に着手すべきです。

中小企業のSEOにおいて、検索ボリュームの大きさは必ずしも重要ではありません。たとえ月に数十回しか検索されないニッチな言葉であっても、それが自社の得意領域で、高いコンバージョン(成約)が見込めるのであれば、その1記事を書く価値は十分にあります。広告でLPを1枚作るのと同様の熱量で、まずは自社の核となるキーワードを数記事固める。これだけで、同時並行のメリットは十分に享受できます。
中小企業のSEOの方針についてはこちらの記事で解説しています。
関連記事:『SEOは内製すべき?外注すべき?Web担当がいない中小企業の判断基準と現実』
少額予算を連動させない「機会損失」こそが最大のリスク
予算を100対0でどちらかに振るよりも、連動させることで「投資の無駄打ち」を最小限に抑えることができます。
前述の通り、マーケットが存在しないなどの例外を除けば、広告とSEOを分断して考える必要はありません。広告で市場をテストし、その知見をSEOに流し込み、SEOが育ってきたら広告の比重を最適化していく。この循環こそが、Web担当者が不在の中小企業において、最も効率よく、かつ「大怪我」をしないWeb集客のあり方です。
実例から見る「広告先行」と「SEO先行」の判断基準
どちらの手法を優先すべきかの正解は、自社のリソースと市場環境を照らし合わせた「消去法」で見えてくることが多く、実際の事例でもその判断が成否を分けています。
「Web担当者がいない」という制約の中で、限られた予算をどこに投下すべきか。広告から始めて成功したケースと、あえてSEOから着手して道を切り拓いたケース、それぞれの判断の裏側を見ていきましょう。
【広告先行】スピード重視で「売れる確信」を先に掴んだB2B専門商社の事例
「今すぐの売上」と「市場でのニーズ確認」を最優先事項としたこの企業では、SEOを後回しにしてリスティング広告に全予算を投下したことが勝因となりました。

- 状況: 新規事業として特殊な産業用洗浄剤の販売を開始。Webサイトは立ち上げたばかりでドメインパワーはほぼゼロ。
- 判断の決め手:
- 時間軸: 3ヶ月以内に受注の兆しが見えないと事業撤退の可能性があった。
- マーケット: 検索ボリュームは小さいが、探している人は確実に「今すぐ」困っている。
- 結果: LP(ランディングページ)1枚制作し、月15万円の広告運用を開始。初月から3件の有効な問い合わせを獲得しました。ここで得られた「どの業界の人が、どんな悩みで検索しているか」というデータを元に、後に効率的なSEO記事を作成することができました。
リスティング広告に関する詳しい記事はこちら
関連記事:『月10万〜50万円のリスティング広告で何件取れる?BtoB少額予算の期待値と現実を完全解説』
【SEO先行】広告費の高騰を避け、資産化を選んだ専門パーツ製造業の事例
リスティング広告のクリック単価が利益を圧迫しすぎる「レッドオーシャン」だったこの企業では、あえてSEOによる長期戦を選んだことで、1年後の集客コストを大幅に下げることができました。

- 状況: 特注部品の受託製造。競合他社が大手を含めリスティング広告に多額の予算を投じており、1クリックあたりの単価が1,000円を超えていた。
- 判断の決め手:
- LTVと競合: 広告経由の獲得単価(CPA)で見ると、初回の取引だけでは赤字になることが判明。大手と同じ土俵で札束の殴り合いをするのは得策ではないと判断。
- マーケット: ユーザーが「設計上の悩み」を検索する傾向が強く、お役立ちコンテンツとの相性が良い。
- 結果: 広告は最小限のメンテナンスに留め、社内の技術者が週1回「設計のコツ」などの専門記事を執筆。半年後からニッチな技術ワードで上位表示され始め、1年後には広告に頼らずとも、毎月安定して質の高い引き合いが届く仕組みが完成しました。
なぜ結果が分かれたのか?「判断の軸」を再確認する
これら2つの事例の明暗を分けたのは手法の優劣ではなく、自社の財務状況と市場の競合状況に対する「状況判断」の正確さにあります。

広告先行で成功した商社は、SEOの遅効性をリスクと捉え、広告で「時間を買った」と言えます。一方、SEO先行で成功した製造業は、広告の不採算性を見抜き、自社の専門性を「資産」に変える道を選びました。
共通しているのは、どちらの企業も「Web担当者がいない」からこそ、中途半端に両方を薄く広げるのではなく、その時の自社にとって最も「勝算の高い方」にリソースを集中させた点です。この実例からも、まずは自社が置かれている「4つの変数」を客観的に見つめ直すことの重要性が分かります。
AI検索時代、集客戦略はどう変わるのか?
結論から言えば、検索行動の「入り口」がGoogleからChatGPTやClaude、Genspark、Google AI Overviews(AIによる概要)などのAIへ分散したことで、従来の「記事を量産するだけのSEO」は通用しなくなっています。
現在、BtoB領域における現場の体感としては、すでにユーザーの30%程度が従来の検索からAI検索へ移動しているという強い肌感覚があり、これが50%を超える未来も決して遠くありません。広告と自然検索のみだった世界に「AI」が加わった今、中小企業が取るべき新時代の戦略を整理します。
一般論や用語解説の「検索」はAIに奪われた
検索行動の変化の中でも、特に大きなダメージを受けているのがSEO(自然検索)です。一方で、リスティング広告は現状、そこまでの大きな影響は受けていません。

ユーザーは「5つの記事を読み比べて解釈する」よりも「AIに一言でまとめてもらう」快適さを選んでおり、一般論のハブは完全にAIへと移行しています。この変化により、これまで「〇〇とは?」「〇〇の選び方」といった用語解説記事でアクセスを集めていたSEO手法は、今後ますます苦戦を強いられることになります。一方で、リスティング広告は、解決策(サービスや商品)を具体的に探している顕在ユーザーに直接届けるという性質上、AIによる要約検索が普及した現在でも、その集客効果は比較的安定して維持されています。
キーワード大量生産型SEOから「信頼されるサイト」への変革
AIの登場で「キーワードに沿ったそれっぽい記事」を量産することは誰にとっても容易になったからこそ、ドメインの強さや被リンクといった「サイトの信頼性」が成否を分ける状況は以前と変わりません。

AIを活用すれば、一定の品質の記事を大量に作成するコストは劇的に下がりました。しかし、誰もが同じようにコンテンツを量産できるようになった結果、情報の「内容」だけでは差別化が難しくなっています。そこで改めて重要になるのが、そのサイトが「業界で信頼できる情報源である」と客観的に評価されているかどうかです。
他サイトからの「被リンク」や、SNS・サイテーション(言及)といった要素の有用性は、これまでのSEOと本質的には変わりません。むしろ、AIが回答の引用元を選ぶ際の基準として、ドメインの権威性はこれまで以上に重視されるようになっています。AI時代におけるSEOの目的は、単なるアクセス稼ぎではなく、「AIがユーザーに自信を持って推奨する専門家」としてドメインそのものを育て、信頼の裏付けを積み重ねることにシフトしています。
中小企業のSEOについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:『SEOは内製すべき?外注すべき?Web担当がいない中小企業の判断基準と現実』
SEOよりも「広告」の方がAIの影響を受けにくい
激変する検索環境において、リスティング広告は自然検索(SEO)に比べて AI台頭の影響を相対的に受けにくく、安定した露出を確保できる手段となっています。
直近の傾向として、自然検索のクリック数はAIにシェアを奪われ大きく減少していますが、広告枠はGoogle等のプラットフォームの収益源であるため、依然として目立つ位置に維持されています。ユーザーの行動パターンが「AIに推奨を聞き、その後で具体的なサービス名を検索(または広告をクリック)する」という流れに変化しても、確実にターゲットの目に触れることができる広告の価値は、むしろ相対的に高まっていると言えます。
少額予算のリスティング広告の期待値について解説している記事はこちら
関連記事:『月10万〜50万円のリスティング広告で何件取れる?BtoB少額予算の期待値と現実を完全解説』
経路は変わっても「欲しい人の数」は変わらない
集客の入り口がGoogleからAIに変わったとしても、解決策を探しているユーザーの総数自体が減るわけではないため、過度に恐れる必要はありません。
自然検索が減りAIが増えたとしても、ユーザーが「課題を解決したい」という意図を持って行動していることに変わりはありません。これからの勝負は、AI検索の結果で「推奨されるブランド」になり、その後の「指名検索」をいかに発生させるか、反映し、そして広告で確実にその受け皿を作るかにかかっています。
過去のSEO成功体験に縛られている企業ほど変化への対応が難しくなる一方で、これからWeb集客を強化する企業にとっては、最初からAI時代に最適化した戦略をフラットに構築できる大きなチャンスです。この変化を、既存の勢力図を塗り替える好機として捉えるべきでしょう。
結論|Web担当がいない中小企業の現実的なステップ
結論として、Web集客の成功は「どちらをやるか」の前に、自社の強みを言語化し、マーケットに適した戦略を全体設計できるかで決まります。

どれほど優れた広告運用やSEO技術を駆使しても、土台となる「差別化」ができていなければ成果は出ません。Web担当者がいない中小企業が、限られたリソースで勝つための実践的なステップを整理します。
まずは「全体設計」と「強みの言語化」に時間を割く
集客手法を選ぶ前に、自社がどのポジションで何を訴求するのかを磨き上げなければ、広告のCVR(成約率)もSEOの成約精度も向上しません。
まずはマーケットを調査し、自社が戦うべき場所を見定めてください。強みがないまま作ったLPは「どこにでもある普通のもの」になり、広告費を垂れ流す結果になります。SEOにおいても、アクセスは取れても「あなたにお願いしたい」と思わせる説得力がなければ、問い合わせには繋がりません。手法に飛びつく前に、「なぜ自社が選ばれるのか」という設計図を完成させることが最優先です。
予算30万円なら広告を、10万円なら「本気の数記事」を
業界の競争環境にもよりますが、月30万円の予算を確保できるならリスティング広告を軸にし、10万円程度であれば外注せず「内製による高品質な記事」から始めるべきです。

クリック単価が高騰している激戦業界において、月10万円の広告予算では十分なデータが取れず、改善を回す前に予算が尽きてしまいます。一方で、SEOを始めるからといって最初から数十万円をかけて外注する必要もありません。まずは社内で、自社の顧客に最も刺さる「本気の記事」を数本だけ書いてみてください。AIが量産するような薄い記事ではなく、自社の専門性が詰まった数記事こそが、今の時代のSEOとAI検索において最大の武器になります。
成果を基準に「広告」と「SEO」の比率を柔軟に調整する
Web集客は一度決めたら終わりではなく、実際の反響データを見ながら広告費とSEOへの注力比率を最適化していく継続的な調整が必要です。
広告で反応が良いキーワードが見つかれば、それをSEOの重要テーマに格上げする。逆にSEOで安定して成約が取れるようになったキーワードについては、広告の入札を弱めて全体のCPA(顧客獲得単価)を下げる。このように、成果を見ながら予算配分をスライドさせていくことで、担当者が不在でも「負けない集客体制」が構築されていきます。
本記事では、リスティング広告とSEOの優先順位を「4つの変数」から解説してきました。
オンライン集客に唯一絶対の正解はありませんが、貴社のマーケットや予算、そしてAI検索時代の変化を捉えた「最適解」は必ず存在します。
「自分の業界ではどちらが向いているのか?」「この予算で本当に成果が出るのか?」と不安を感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。貴社の強みを引き出し、Web担当者がいなくても回る現実的な集客戦略を、共に設計させていただきます。