少額予算のリスティング広告立ち上げ事例|月30万円から始めてBtoB ITインフラで商談3件
Webマーケティングコンサルタント/合同会社KAIZUKA代表。マーケ担当がいないBtoB中小企業に特化し、戦略設計から少額予算からのリスティング広告・SEO・LLMO(AI検索最適化)の実行まで、提案・窓口・実行をすべて本人が担当。担当者が変わらない伴走支援を東京を拠点に全国で提供。マーケ支援12年・150社以上。

少額予算でリスティング広告を始めたものの、クリックは集まっているのに問い合わせが1件も来ない。この状態は、広告の設定が悪いというより「広告の外側」に原因があることがほとんどです。
BtoB向けITインフラサービスを提供する企業で、まさにこの状態から立ち上げた事例をご紹介します。広告費 月30万円台という少額予算からスタートし、3ヶ月目に有効な問い合わせ4件・うち商談3件まで到達しました。
クライアント概要
| 業種 | BtoB向けITインフラサービス(データセンター・クラウド関連) |
| 従業員規模 | 約100名 |
| 対象商材 | 法人向けクラウドサービス/データセンターの設備利用サービス |
| 1件あたりのLTV目安 | 600万〜1,500万円(2〜5年継続を想定) |
| 社内体制 | Web担当者3名(広告運用の経験はなし) |
| 支援内容 | リスティング広告の新規立ち上げ・運用代行、LP改善のアドバイス |
| 開始時の広告費 | 月約30万円 |
| 手数料 | 月5万円(3ヶ月契約) |
新規の引き合いは紹介と既存顧客からの相談が中心で、Web経由の新規問い合わせがほぼゼロという状態でした。オンラインでの集客チャネルを新しく開拓するテストという位置づけで、少額予算からリスティング広告の配信を開始しています。
課題:クリックは取れていたのに、有効な問い合わせが0件だった
配信開始から1ヶ月目、広告費は約30万円。セッション数は約2,100と、流入自体は十分に発生していました。管理画面上のコンバージョンも3件計上されています。
ところが、クライアントに実際に届いた問い合わせは0件でした。計上されていた3件は、いずれも自社への営業メールなど商談につながらないものです。管理画面の数字と、現場の実感が一致していない状態でした。
クリックの大半が検索パートナー経由だった
クリックの内訳を調べると、より深刻な問題が見つかりました。
| 配信面 | クリック数 |
|---|---|
| Google検索 | 約70 |
| 検索パートナー | 約2,000 |

配信開始1ヶ月目のクリック内訳。予算のほとんどが検索パートナー面に流れていた。
クリックの96%以上が、Googleの検索結果ではなく提携サイト経由でした。検索パートナーは配信面が公開されておらず、検索意図の薄いクリックが混ざりやすい面です。予算のほとんどが、購買意欲の見えないクリックに流れていました。
この商材の平均クリック単価は99円。BtoBのITインフラ領域としては明らかに安すぎる数字で、これ自体が偏りのサインでした。
なぜこうなったのか。 検索ボリュームの小さいジャンルで「クリック数の最大化」のような入札戦略を使うと、この現象は非常によく起こります。Google検索側に十分な在庫がないため、システムは安いクリックが大量に取れる検索パートナー面へ配信を寄せていきます。設定を間違えたわけではなく、戦略の選択と市場規模の組み合わせで自動的にそうなるという構造です。
品質スコアが1〜3のキーワードも多数あり、主力商材の検索広告インプレッションシェア損失率(ランク)は69%。クリック単価が上がり、表示機会も失うという悪循環に入っていました。
問い合わせ以外の受け皿がなかった
そしてもうひとつ、これが最も本質的な問題でした。
広告の遷移先は既存のサービスページで、そこにあるアクションは「お問い合わせ」ボタンだけ。BtoBのITインフラサービスは検討期間が長く、初回接触でいきなり問い合わせるユーザーはほとんどいません。情報を持ち帰る手段がないため、興味を持った人も離脱するしかない状態でした。
広告を先行してスタートし、受け皿となるページの整備が後回しになっていたことが、構造的な原因です。
打ち手:広告の外に原因があると判断し、受け皿の設計から手をつけた
① 検索パートナー配信を停止し、検索語句を精査した
まず検索パートナーへの配信を停止し、Google検索のみに配信を絞りました。あわせて検索語句レポートを精査し、明らかに意図から外れる語句を除外しています。
このとき、すべてを機械的に除外はしませんでした。「AI」「クラウド」「競合他社名」といった語句は、現時点では成果に結びついていなくても、将来的に顧客になりうる層が検索している可能性があります。除外の判断は、クライアントの営業実感と突き合わせながら行いました。
広告見出しについても、検索意図に合わせたパターンを大量に追加しています。
② 資料ダウンロード導線を新設し、コンバージョンを階層化した
1ヶ月目の時点で、キーワード調整だけでは問い合わせが発生しないことがはっきりしました。ここで方針を切り替え、LP側の受け皿づくりに着手します。
- サービスページに資料ダウンロードのボタンを追加
- ダウンロードページの到達を、コンバージョンとして計測開始
- 問い合わせページへの遷移も、最適化対象のコンバージョンに追加

コンバージョンを1種類から2階層に変更。低ハードルの接点が学習データと判断材料を生む。
狙いは2つあります。ひとつは、いきなり問い合わせるほどではない層に情報を持ち帰る手段を用意すること。もうひとつは、Google広告の機械学習に渡す学習データの量を増やすことです。月0〜3件のコンバージョンでは、自動入札はまともに機能しません。
実作業はクライアント側で対応いただき、弊社は導線の設計と改善内容の提案を担当しました。
③ 特設ページを立ち上げ、主力商材へ予算を集中した
3ヶ月目には、導入時の費用を抑えられるキャンペーンの特設ページを稼働させました。既存のサービス紹介ページと違い、いま行動する理由があるページです。
同時に、社内事情で展開を保留することになったクラウドサービス側の予算を絞り、成果が出始めていた設備利用サービスに広告費を寄せる判断をしています。この時点で月の広告費は約65万円まで増えていますが、これは成果が見えたうえでの増額であり、最初から大きく張ったわけではありません。
成果:3ヶ月目に有効な問い合わせ4件、うち3件が商談化
| 指標 | 1ヶ月目 | 3ヶ月目 |
|---|---|---|
| 月間広告費 | 約30万円 | 約65万円 |
| 有効な問い合わせ | 0件 | 4件 |
| うち商談化 | ― | 3件 |
| 資料ダウンロード等 | 0件 | 約40件 |
| CVR | 0.14%/0% | 0.4% |
| 主力商材のCPC | 約840円 | 約590円 |
| CPA | 算出不可 | 約16万〜20万円 |
3ヶ月間の広告費は累計で約150万円。有効な問い合わせは合計5件で、そのうち3ヶ月目の4件については3件が商談に進んでいます。
数字が動かなかった期間も書いておくと、開始から約1ヶ月半は問い合わせ0件が続きました。動き始めたのは、資料ダウンロード導線と特設ページが揃ってからです。
なお、この商材は商談から受注まで6ヶ月〜12ヶ月かかることも珍しくありません。現時点では、広告経由の商談3件はいずれも受注確定には至っていません。 リードタイムの長いBtoB商材では、広告の評価を受注ベースだけで行うと判断が1年遅れます。商談化率とパイプラインの積み上がりで中間評価する必要があります。
CPA16万円を「高い」と判断しなかった理由
問い合わせ1件あたり16万〜20万円。金額だけ見れば高く感じますが、この商材では十分に成立する水準です。
- 1件あたりのLTV目安:600万〜1,500万円
- 想定される受注率:10%程度
- 商談1件あたりの期待値:60万〜150万円

CPAはLTVと受注率を置いて初めて評価できる。この商材では商談単価22万円に対し期待値60〜150万円。
一方、商談1件あたりの広告費は約22万円。期待値と比べて、投資として継続できる水準に収まっています。
CPAは単体では評価できません。 LTVと受注率を置いて初めて、高いか安いかが決まります。同じCPA16万円でも、LTVが50万円の商材なら即座に撤退すべき数字です。少額予算の案件ほど、この計算を配信前に済ませておく必要があります。
クライアントの声
この案件でクライアントと共有できたのは、広告の成果はLPの設計に大きく左右されるという一点でした。配信前は既存のサービスページで足りるという想定でしたが、実データと競合の訴求を並べて確認したことで、受け皿側に手を入れる必要があるという判断に至っています。
再現のポイント
クリックがあるのに問い合わせがないときは、広告の外を疑う
この案件では、1ヶ月目にキーワード調整を一通りやりきりましたが、問い合わせは増えませんでした。管理画面でできることには限界があるというのが、その時点での結論です。
流入が取れているのにコンバージョンしない場合、原因の多くは遷移先にあります。広告の調整を繰り返す前に、着地したユーザーが何をできる状態なのかを確認してください。
少額予算・少検索ボリュームでは、入札戦略の選択が配信面を歪める
検索ボリュームの小さいジャンルで「クリック数の最大化」を選ぶと、配信が検索パートナー面に偏りやすくなります。Google検索側の在庫が限られるため、安く大量にクリックが取れる面へ自動的に流れるからです。
平均クリック単価が相場より極端に安いときは、成果ではなく配信面の偏りを疑ってください。少額予算では、この偏りだけで月の予算が丸ごと消えます。
コンバージョンが1種類だと、機械学習も意思決定も回らない
問い合わせフォームだけをコンバージョンにしていると、月0〜3件しかデータが溜まりません。この量では自動入札の学習が成立せず、人間が改善の良し悪しを判断することもできません。
資料ダウンロードのような低ハードルの接点を用意すると、学習データが増え、見込み顧客の反応が可視化されます。この案件では、3ヶ月目に約40件のダウンロードが発生しました。問い合わせではありませんが、確実に検討している層です。
期待値は、逆算して先に合わせる
この案件では、開始当初に「20件以上の問い合わせがほしい」という期待値がありました。
弊社からは、検索ボリュームがどれくらいか、クリック単価の相場がいくらか、BtoBのCVRが一般的にどの程度かを提示し、そこから逆算すると獲得件数と獲得単価はこうなる、という説明を繰り返しています。根拠のない目標を否定するのではなく、根拠のある数字を並べて、そこから一緒に判断するという進め方です。
配信を重ねて実データが出るにつれて、当初の期待値が希望的観測だったことを共有できました。ここを曖昧にしたまま進めると、成果が出ていても「思ったより少ない」という評価になります。少額予算では特に、件数の期待値がずれたまま走ると3ヶ月で打ち切りになります。
少額予算だからこそ、成果が見えてから増やす
この案件は月30万円台でスタートし、成果が見え始めた3ヶ月目に65万円まで増やしました。最初から大きな予算を投じていたら、検索パートナーへの偏りに気づく前に数百万円を消化していた可能性があります。
少額から始めることは、慎重さではなくリスク管理です。 何が効いていて何が効いていないかを見極めてから増額するほうが、結果的に到達点は高くなります。
支援の体制と費用
| 契約形態 | 3ヶ月契約からスタート |
| 手数料 | 月5万円(広告費に対する料率ではなくフィー制) |
| 業務範囲 | 広告アカウントの構築・運用、月1回のオンラインミーティング、LP改善のアドバイス・コンサルティング |
| LP側の実作業 | クライアント側で対応(弊社は設計と提案を担当) |
| 担当 | ヒアリングから運用まで同一(契約後の変更なし) |
弊社は広告費に対する料率ではなく、業務内容と業務量から手数料を決めています。この案件のように「LP改善のアドバイスは必要だが、制作作業は社内でできる」というケースでは、必要な部分だけを切り出して依頼できます。
広告費が月10万円台からのご相談も承っています。対応できる条件と料金の考え方は、少額予算のリスティング広告運用代行にまとめています。
よくある質問
Q. 少額予算でも、BtoBのリスティング広告で問い合わせは取れますか?
A. 商材と検索需要によります。この事例では月30万円台で有効な問い合わせが月4件発生しましたが、これはLTVが600万〜1,500万円という前提があって成立しています。CPAが16万円でも許容できる商材だからです。件数だけを目標にすると判断を誤るため、1件あたりの利益と受注率から許容できるCPAを先に決めてください。
Q. 少額予算のリスティング広告で、検索パートナーへの配信は止めるべきですか?
A. 一律ではありません。商材によっては有効に機能します。ただし検索ボリュームの小さいジャンルで「クリック数の最大化」を使っている場合、配信がパートナー面に偏りやすくなります。平均クリック単価が相場より極端に安いときは、配信面ごとの成果を分けて確認してください。
Q. 資料ダウンロードをコンバージョンにすると、問い合わせが減りませんか?
A. この事例では減らず、問い合わせが0件から発生するようになりました。いきなり問い合わせるほどではない層に接点を作るのが目的なので、問い合わせボタンを置き換えるのではなく、並べて設置するのが基本です。
Q. 少額予算のリスティング広告で成果が出るまでどのくらいかかりますか?
A. この事例では、問い合わせが動き始めるまで約1ヶ月半かかりました。LP側の改善を伴う場合はさらに時間が必要です。少額予算では溜まるデータ量が少ないため、1ヶ月で判断するのは現実的ではありません。弊社が初回3ヶ月契約としているのはこのためです。
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少額予算で始めたものの、クリックは取れているのに問い合わせにつながらない、という状態は珍しくありません。原因が広告アカウントにあるのか、その先にあるのかは、実データを見れば切り分けられます。まず現状をお聞かせください。